研究課題
基盤研究(B)
植物体を構成する数十種類の細胞型(組織の種類)は、それぞれに固有の細胞壁構造を持ち、その動態を通して固有の形態を構築・維持し、それが細胞固有の機能発現の基盤を成している。この事実は、細胞壁構築過程が細胞型分化に係わる制御過程と密接に連動していることを意味している。しかし、細胞型固有の細胞壁構築・再編に関わる分子過程は、未だその概要さえ掴めていない。本基盤研究(B)では、シロイヌナズナの細胞壁構築に関連する30遺伝子ファミリー765遺伝子を視野にいれ、(a)独自に設計・製作した70-mer DNAマイクロアレーおよび定量RT-PCRによる網羅的な発現解析、(b)細胞壁サブプロテオームによるタンパク質分泌過程の解析、および(c)細胞壁関連遺伝子ファミリーのT-DNA挿入変異体による包括的表現型解析を組み合わせ、特定の細胞型(組組)形成において特に必須の役割を担う細胞壁遺伝子セットを探索すると共に、特定した遺伝子の発現制御機構およびタンパク質機能の解析を進めてきた。その結果、根で特異的な発現様式を示し、進化的にも近縁であるAtXTH17,AtXTH18,AtXTH19,AtXTH20の4つの遺伝子内に根での発現特性に関わるシス流域を同定し、その機能を実証することができた。また、AtXTH12およびAtXTH18が根の伸長に必須の役割を担うこと、AtXTH27が葉の管状要素の伸長に必須であること、などを実証することができた。更に、胚軸の伸長過程で役割を担う細胞壁遺伝子群、花茎の屈曲過程で機能する遺伝子群、花茎の支持組織の細胞壁構築に特異的に関与する遺伝子群なども特定できた。以上の成果により、私たちが提唱している「細胞壁型特異的遺伝子セット説」は、遺伝子発現のレベルでは、ほぼ実証されたと考えられる。また、細胞壁型特異性の形成過程において、XTH遺伝子ファミリーが際だって重要な役割を担うことが今回の研究により明らかとなった。
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