研究課題
フィトクロムのシグナル伝達に関して、以下の実験を行った。我々は、昨年度においてphyBのN末端側半分に相当する光受容領域は、NLSとGUSを付加してやることにより、十分、光受容体として機能することを示した。そこで本年度は、さらにこのN末端領域内のC-末端側に位置する約200アミノ酸よりなるPHYドメインの機能を探るため、このドメインを欠損する光受容領域をシロイヌナズナのphyB欠損変異体で発現させ、その生理活性を調べた。その結果、phyBの光受容領域はPHYドメインを欠損しても十分、光受容体として機能することが分かった。さらに、この分子の分光光学的性質を明らかにするため、同タンパク質を大腸菌で発現させ、発色団と試験管内で再構成した。このようにして得た試料でPrとPfrの間の光変換を調べたところほぼ正常であった。ところが、暗所におけるPfrからPrへの変換(暗反転)の速度がPHYドメインを欠損する分子では上昇していることが分かった。そこで、このような性質が同分子を発現する植物の光応答にどのような影響を与えるかを間欠照射実験で調べた。その結果、Pfrがより不安定になったことに対応して、十分な応答を得るためにはより頻繁に照射を行う必要があることが分かった。また、phyAのシグナル伝達機構を探るため、phyAにNLSまたはNESとGFPを付加したものをシロイヌナズナのphyA欠損変異体で発現させ、その性質を調べた。その結果、phyAによる遠赤色光高照射反応が、NLSを付加したものでは正常なのに対して、NESを付加すると全く見られないことが分かった。したがって、phyBの場合と同様に、phyAによる高照射反応も核内におけるシグナル伝達の結果である可能性が高いことが示唆された。また、どちらの場合でも、phyAに特徴的な光依存的分解は正常であった。
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