研究概要 |
植物の葉の組織でCO_2固定に必要とする以上の過剰の光エネルギーは酸素分子を還元、励起し活性酸素を生ずる。活性酸素のうち、酸素の還元分子種はこれ迄詳しく研究され、葉緑体での生成、消去、作用は水-水サイクルとして解明されてきた。本年度はこれ迄解明の遅れている励起酸素分子である1重項酸素(^1O_2)、の葉緑体での検出、定量法の確立を目指した。 水の中での寿命が短い^1O_2を、葉緑体を光照射しつつ測定するため、東大・薬・長野教授から提供を受けたフルオレセイン基をもつ、^1O_2に特異的に反応し蛍光(525nm,励起480nm)を発するプローブを用い、^1O_2の測定法を開発した。蛍光プローブが葉緑体の作用光によって光分解するのを防ぐため作用光に赤色光を用い、さらにプローブの励起光による光分解を抑制するため、励起光をパルス変調-増幅する装置を用い、作用光を照射しつつ、^1O_2生成を連続的に測定できる方法を初めて開発した。 以上の^1O_2生成測定は、既設のパルス変調-増幅クロロフィール蛍光測定装置を用い、励起光、蛍光の波長を蛍光プローブに合わせて干渉フィルターを挿入して測定した。今年度、クロロフィール蛍光を、実寸大、顕微鏡レベルで2次元測定できる装置を購入したが、次年度に、これら装置を、^1O_2蛍光プローブを用いて測定できるように改造して葉の組織、葉の細胞内での^1O_2生成の2次元分布、葉緑体1個レベルでの^1O_2生成を測定できるようにする予定である。
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