研究概要 |
本申請課題は、無尾両生類における部域依存的な変態運命決定の分子機構を解明することが目的である。そのためツメガエル幼生皮膚をモデル組織として、本年度は以下二つの研究を展開した。 (1)テトラサイクリンによる外来遺伝子の発現調節が可能なトランスジェニックカエルの作製 (2)皮膚変態における甲状腺ホルモン(TH)直接応答性遺伝子の網羅的解析 (1)米国カーネギー研究所のBrownらによりトランスジェニックカエルにおけるテトラサイクリン誘導型ベクターの有効性が報告された(参考文献)。これを参考にして発現コンストラクトを作成した。皮膚変態に重要と考えられる線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)とホメオボックス型転写制御因子(HoxA13)の機能欠失型変異遺伝子を作製し、このベクターに挿入した。現在、これらの発現コンストラクトを導入したトランスジェニックカエルを作製中である。 (2)THにより誘導される皮膚変態の分子機構を明らかにするため、オリゴマイクロアレイによる転写産物の網羅的解析を行った。5nMのトリヨードチロニン(T_3)により人為的に変態を誘導したツメガエル幼生頭胴部皮膚からtotal RNAを抽出し、Affymetrix社のGeneChipを用いて解析した。7日間の間に二倍以上発現が変動する遺伝子を3000個以上同定した。また、T_3誘導により24時間以内に発現が誘導される初期応答性遺伝子を300個以上同定した。また、同定した初期応答性遺伝子の転写調節領域をバイオインフォマティクス解析し、TH応答配列(TRE)をもつ遺伝子を数個同定した。 参考文献 Das B and Brown DD : Controlling transgene expression to study Xenopus laevis metamorphosis. Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 2004,101(14),4839-4842.
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