研究課題/領域番号 |
15370028
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態・構造
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉里 勝利 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20095516)
|
研究分担者 |
柏木 昭彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50106796)
鈴木 賢一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90363043)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | アフリカツメガエル / トランスジェニックカエル / 変態 / 甲状腺ホルモン / 甲状腺ホルモン応答遺伝子 / マイクロアレイ / 甲状腺ホルモン応答配列 / 遺伝子ネットワーク |
研究概要 |
本研究は当初次のような研究計画をもって開始した。 (1)変態研究に有用なトランスジェニクカエルの作成 (2)幼生皮膚から成体皮膚への変換を支配する遺伝子の発現制御からみた尾部吸収機構解明 本研究の目的達成のためには、外来遺伝子の発現を時期的及び量的に制御できるトランスジェニックカエルを作成する技術の開発が重要であった。カーネギー研究所のBrownらにより開発されたテトラサイクリン誘導ベクターシステムを導入しその技術の有効性を検討したが、開発者の報告通りの結果を得ることができなかった。この方法は、さらに条件の検討が必要である。そこで本研究の趣旨を他の方法で展開することにし、新たな課題「皮膚変態における甲状腺ホルモン直接応答性遺伝子の網羅的解析」を設定した。この課題は、初期の目的通りの成果を上がることができ、未知及び既知の変態関連遺伝子を多数スクリーニングすることができた。甲状腺ホルモン(TH)により発現が増加する遺伝子を1497種類、減少する遺伝子を962種類同定した。特に、TH処理後24時間以内に発現が変化するTH初期応答性遺伝子約50個に対して、ニシツメガエルのゲノムデータを基にin silico解析を行い、転写調節域にthyroid hormone response element(TRE)の候補塩基配列を含むものを20個選択した。これらの遺伝子のうち、Xenopus adult keratin-C遺伝子の5'上流にあるTRE配列に関して、ゲルシフト法で実際に転写調節に関与していることを証明できた。さらに、数種類の皮膚変態に関与する遺伝子(ケラチン等)をクローニングし、それらの遺伝子発現がTHにより制御されていることを明らかにした。 私達は、皮膚変態の部域特異性を決めるのは表皮と真皮の相互作用であること、この相互作用にPDGF/PDGFRシグナリングが関与していることを示していた。私達は、背と尾の表皮・真皮間のPDGF/PDGFRシグナリングの違いに、Hox遺伝子が関与しているとの仮説を持っているが、この仮説を支持する以下の実験結果を得た。(1)Hoxa13遺伝子は、尾に特異的に発現することを脊椎で示した。(2)Hoxa13遺伝子を尾の脊椎に強制発現させるとTH-依存的細胞死が促進されるが、この効果は、Hoxa13遺伝子のドミナントネガティブで消去される。
|