研究課題
1.ウミヤツメ脳下垂体cDNAライブラリーからプロラクチン放出ホルモン(PrRP)ホモログをコードするクローンを得た。このcDNAは1399塩基からなり142アミノ酸残基をコードする。このmRNAは脳と脳下垂体で発現し、発現レベルは脳の方が高かった。一方、脳からは2種類のPrRPホモログ(AとB)を単離した。AとBは、それぞれ、25と20アミノ酸残基からなり、Bは上記演繹アミノ酸配列の48-67位に相当した。しかし、Aに相当する配列は含まれていないので、別の遺伝子に由来すると考えられる。2.3科8種のヤツメウナギから生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)-III cDNAをクローニングした。これらはアミノ酸配列により3グループに分類された。その内容は従来の系統分類に符合した。3.産卵のために遡上したウミヤツメ(各7尾)に5、50,100ng/g体重のGnRH-IIIを24時間間隔で2回注射し、脳下垂体のβ-アクチンmRNAを対照として生殖腺刺激ホルモンβと成長ホルモンmRNAレベルをPCRで定量した。両ホルモンのmRNAの発現がGnRH-IIIにより促進されることを証明した。4.メラニン凝集ホルモン(MCH)は我々がサケで発見した視床下部ホルモンである。哺乳類では摂食を促進することから、注目を集めている。魚類でも哺乳類と同様の作用を有することを証明した。5.ヤツメウナギの成長ホルモン(GH)とその遺伝子の同定と分子系統樹の作成、インスリン様成長因子を介する成長促進作用の証明により、GHは無脊椎動物に起源すると考察した。そこで、サケGHをエゾアワビに投与し、その成長が促進されることを確認した。GHホモログcDNA断片をアワビの組織からクローニングした。得られたcDNA断片は魚類GH cDNAに対して高い相同性を示した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
General and Comparative Endocrinology 139・1
ページ: 85-94
Peptides 25・11
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