研究概要 |
1)GnRH開口放出とイオンチャネル活動・細胞内Ca^<2+>濃度のリアルタイム同時測定 従来の岡らの研究成果から,環境の変化は神経伝達物質やホルモンという形で神経系・内分泌系の信号を生成することにより終神経GnRH細胞の細胞膜に存在する伝達物質・ホルモン受容体を活性化し,それと共役する細胞内情報伝達機構によって,終神経GnRH細胞の細胞体および脳内に広く分布する神経突起からのGnRH放出量を調節し,これによって,広範囲の神経系の機能を修飾して動物の神経系が環境の変化に柔軟に適応することを可能にする,と考えられる。このような考えを支持するためには,まず,GnRH放出をリアルタイムに測定しつつ,神経伝達物質やホルモンなどを作用させたときにGnRH放出がどう変化するかを知る必要がある。そこで,まず脳スライスを用いて単一終神経GnRH細胞からパッチ電極で電気活動記録を行い,今年度はGnRH開口放出に重要な膜電位依存性Ca^<2+>チャネルに注目して電気生理学的解析を行った。その結果,GnRHニューロンの持つ膜電位依存性Ca^<2+>チャネルのサブタイプがすべて同定でき,さらに,それらの一部のタイプだけが特異的にGnRHペプチドによって修飾を受けることを証明した。 2)GnRH受容体のGnRH細胞内及び脳内分布の解析 終神経GnRH系が神経修飾作用を行うには必然的に脳内GnRH受容体を介しているはずで,その意味でGnRH受容体の脳内分布を知ることは神経修飾作用の生物機能を調べる上で必須である。そこで、今年度はDG脳内のGnRH受容体遺伝子のクローニングを行い,そのアミノ酸配列を解明すると同時に,この情報を基に,in situ hybridization (ISH)を行ってGnRH受容体の脳内分布を解析した。また、単一細胞パッチRT-PCR法を用いて、電気生理学的に同定した単一終神経GnRHニューロンにおいて発現するGnRH受容体mRNAタイプを同定した。
|