研究課題/領域番号 |
15370036
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 元己 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00193524)
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研究分担者 |
喜多 陽子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60345262)
青木 誠志郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10334301)
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キーワード | タンポポ属 / ニガナ属 / 無配生殖 / 無融合種子生殖種 |
研究概要 |
日本には15種のタンポポが生育している。セイヨウタンポポは、日本に約100年前に導入され、その分布は日本全国に拡大している。ところが、遺伝マーカーによる解析から、日本でセイヨウタンポポとされていた植物の大部分が2倍体在来種とセイヨウタンポポとの雑種であることが報告された。そこで本年度は雑種タンポポの生殖様式を検証することで、形成機構や浸透性交雑の可能性の解明を試みた。 カントウタンポポとセイヨウタンポポ、および両者の雑種3系統の合計36組合せで人工交配を行い、結実した587種子についてDNAマーカーとFCMによる解析を行い、雑種形成の有無を確認した。カントウタンポポとセイヨウタンポポの人工交配は、18組合せで行い、4組合せで計6個体の3倍体雑種の形成が確認されたが、4倍体雑種と雄核単為生殖雑種の形成は確認されなかった。カントウタンポポと3倍体雑種との戻し交雑は、合計13組合せで行い、7組合せで計13個体の新たな雑種が形成された。内訳は、3倍体と推定される雑種が10個体、4倍体と推定される雑種が3個体形成された。野外でも、戻し交雑から生じたと推定される3倍体雑種が観察された。 セイヨウタンポポが花粉親、カントウタンポポが種子親となった時に3倍体雑種が形成されることが再確認された。また、野外に生育する3倍体雑種は稔性のある花粉を生産し、カントウタンポポとの浸透性交雑の可能性が示唆された。本研究は、雑種タンポポの浸透性交雑の可能性を確認した最初の報告である。また、浸透性交雑により、有性生殖が獲得されるかどうかについては、今後の課題である。
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