研究課題/領域番号 |
15370038
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松井 正文 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40101240)
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研究分担者 |
西川 完途 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (10335292)
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キーワード | マレーシア / サバ州 / 両生類 / インベントリー / キナバル国立公園 / クロッカー山脈国立公園 / アシナシイモリ / ホソウデナガガエル |
研究概要 |
マレーシア連邦サバ州のキナバル国立公園およびクロッカー山脈国立公園において、両生類相のインベントリー調査を行った結果、以下のような成果が得られた。(1)キナバル国立公園のサヤップにおいて、この地域では初記録となるアシナシイモリを発見した。捕獲されたのは幼生であり、確かな同定はできなかったが、900mという高標高で採集されたのは珍しい記録であった。(2)キナバル山周辺のMeristogenys kinabaluensisの幼生が、尾の毒腺の有無に関してクロッカー山脈のものとは異なっていることが明らかになった。DNA解析の結果、両者には遺伝的にも差が認められ今後分類学的に詳細に調査する必要がある。(3)昨年までの本研究の結果、ホソウデナガガエル属の未記載種の存在が明らかにされていたが、そのうちの一種がポーリンでLeptolalaxpictusと同所的に生息することを確認した。(4)これまでボルネオ島のサラワク州でしか知られていなかったMegophrys dringiをクロッカー山脈において発見した。同属のM.kobayashiiが短い時間しか鳴かないのに対し、本種は比較的長い時間鳴き続けるなど音声学的に大きく異なっていた。(5)クロッカー山脈南東部のテノム近郊において、現地では初報告となるアシナシイモリCaudacaecilia aspleniaの抱卵を発見した。ボルネオ島におけるアシナシイモリの繁殖生態は謎が多く、卵が発見された報告もおそらく初めてである。キナバル国立公園およびクロッカー山脈国立公園は、これまで調査が最も良くなされてきた地域である。しかし、今回の我々の調査の結果、そのような地域でさえ調査が不十分な場所があり、また、形態だけでは区別の難しい隠蔽種が存在していることが実証された。目録に加えられた種数の増加率から見て、今後も両生類の多様性は更に増大することが予想された。
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