研究課題/領域番号 |
15370040
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 勲 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70093052)
|
研究分担者 |
姚 閔 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40311518)
|
キーワード | Diels-Alder反応 / natural Diels-Alderase / X線結晶構造 / 多段階触媒 / マクロフォミン酸合成酵素 / 基質複合体 |
研究概要 |
Diels-Alder反応は有機合成現場で日常的に利用される反応である。これまでDiels-Alder反応を触媒する酵素の報告はなく、僅か三種類の候補蛋白質が存在するのみであった。本研究により、MPSの立体構造を基質の一つであるピルビン酸との複合体の状態でX線結晶構造解析することに成功した。得られた立体構造情報および以前の実験データから、世界で初めて天然型Diels-Alderaseの触媒機構を解明することができた。Diels-Alderaseは長い間多くの生化学者、化学者が探し求めていたものである。これまで創製されていたDiels-Alderase触媒抗体に比べ、天然型Diels-Alderaseは精緻な工夫を随所に施し、格段に高速な反応効率を実現していることが明らかになった。 Diels-Alderaseは複雑な化合物の生合成経路上に発見されることが多く、一見して合成経路や基質・化合物の形に共通性は無いように思える。しかし、MPSの構造を元にした反応機構の研究結果は、natural Diels-Alderaseの戦略が、ある共通した概念の上に乗っていることを示唆するものである。すなわち、全く別種の酵素反応と組み合わされたDiels-Alderase活性を保有している。今後微生物二次代謝経路上に次々に発見されるであろうDiels-Alderaseの反応機構が解明され、私たちの提出した概念が一般化されることを期待するところである。
|