研究課題/領域番号 |
15370043
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
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研究分担者 |
吉村 徹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70182821)
三原 久明 京都大学, 化学研究所, 助手 (30324693)
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70243087)
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キーワード | セレン / セレノシステインリアーゼ / セレンタンパク質 / フィトレメディエーション / 脳 / セレン欠乏 |
研究概要 |
(1)セレノシステインリアーゼは、L-セレノシステインに特異的に作用し、L-アラニンとセレンを生成する反応を触媒しセレンタンパク質の生合成に関与すると考えられている。マウスのセレノシステインリアーゼをbaitとしたTwo-hybrid systemにより、本酵素と相互作用するタンパク質を探索した。陽性クローンとしてmajor urinary protein (MUP)をコードするcDNAが同定された。MUPは揮発性フェロモンを分子内に包括することが知られている。解析の結果、2-ナフトールとMUPの結合をセレノシステインリアーゼが阻害することが明らかとなった。(2)セレン汚染土壌の浄化手段として、物を用いて有害なセレン酸を吸収させ、毒性の低いジメチルセレニドの形で大気中に放出することが考えられる。植物にセレン耐性を付与すことを目的として、セレノシステインリアーゼ遺伝子をシロイヌナズナに導入し、サイトゾルまたはクロロプラストで発現させた。これによりタンパク質への非特異的なセレンの取り込みは著しく抑制された。その結果、植物体のセレンへの耐性は大きく向上し、セレノシステインリアーゼのフイトレメディエーションへの利用の有用性が示された。(3)脳のSe濃度は肝臓などの数分の1程度であるが、脳におけるSeの重要性は長い間注目されてきた。しかし、Seと脳機能との特異的な関連についての知見は未だに少ない。脳におけるSe及び各セレンタンパク質mRNA発現量の分布と、Se欠乏に対するそれらの変化を調べた。Se欠乏マウス及び正常マウスの脳各部位(大脳、中脳、小脳、下垂体)及び肝臓の一部よりtotal RNAを調製した。対象としたセレンタンパク質は、GPx1、GPx2、GPx3、GPx4、TR1、TR2、DI1、DI2、MCS、SelM、SeP、SelR、SelT、SelW、Sep15、SPS2、以上16種類である。リアルタイムRT-PCRにより、各種セレンタンパク質mRNAの肝臓及び脳における発現分布を明らかにした。また、Se欠乏に対する各種セレンタンパク質mRNA量の変化についても明らかにした。
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