研究概要 |
エンドフィリン複合体の生化学的・細胞生物学解析 先に酵母ツーハイブリッドスクリーニングによって得たcDNA断片をプローブとしてスクリーニングを行なって、エンドフィリン1-EBP-rho GAP複合体を形成すると思われる新規rho GAPcDNAの全長をラット脳cDNAライブラリーから単離した。CDNA配列からの推定アミノ酸配列を解析した結果、このrho GAPタンパク質はSH3ドメイン、WWドメイン、プロリンリッチ領域、PHドメイン、rho GAPドメインなどを持つ新規rho GAP分子であることが分かった。データベース検索等により、この新規rho GAPは他の2個の類似遺伝子産物とともにrho GAPのサブファミリーを形成すると考えられたので、これらをCAMGAP1,2,3と名付けた。ノーザン解析の結果、多くの組織でこれらのrho GAPの発現が観察された。大腸菌発現タンパク質を作製してこれを用いた生化学実験を行った結果、CAMGAPのrho GAPドメインはRac1およびCdc42に対してそのGTPase活性を促進する作用があることが示された。また、このrho GAPタンパク質の全長および各ドメインを培養細胞に発現し、トランスフェリン受容体のクラスリンを介するエンドサイトーシスに及ぼす影響を調べた結果、WWドメインを含む部分タンパク質の過剰発現が、トランスフェリン受容体のクラスリンを介するエンドサイトーシスに対する強い阻害効果を示すことが観察された。これらの結果から、CAMGAP1がトランスフェリン受容体のクラスリンを介するエンドサイトーシスに関与する可能性が示唆された。
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