研究概要 |
in vivoでの放射標識前駆体の取り込み実験等により,古細菌の膜脂質の生合成の概略が明らかにされている.また,ゲラニルゲラニルグリセロールリン酸(GGGP)合成以前の反応を触媒する酵素については遺伝子クローニングおよびin vitroでのキャラクタリゼーションが行われている.そこで,GGGPにゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を付加しジゲラニルゲラニルグリセロールリン酸(DGGGPS)を合成する酵素,ジゲラニルゲラニルグリセロールリン酸合成酵素(DGGGPS)の遺伝子クローニングを行った. S.solfataricusは,ユビキノン生合成においてキノン環にプレニル基を付加するプレニルトランスフェラーゼのホモログ遺伝子をゲノム中に二つ所有している.そのうち一方,ubiA-2のオルソログはほぼ全ての古細菌ゲノム中に見出される.以上のことから,ubiA-2はDGGGPSをコードしているのではないかと予想し,同遺伝子をpET15bベクターに挿入し,Escherichia coli BL21(DE3)を形質転換することにより目的酵素を発現させた.本酵素は膜タンパク質であるためCHAPSを添加することで可溶化し,熱処理ならびにヒスチジンアフィニティークロマトグラフィーによって精製した.精製酵素を用いGGGPおよびGGPPを基質として反応させ,生成物をMSにより分析した結果,そのm/z値はDGGGPと一致した.また,[^<14>C]GGGPおよび[^3H]GGPPを用いて反応させ,生成物の^<14>Cおよび^3Hの放射活性を測定したところ,生成物はGGGPとGGPPを1:1の割合で含んでいることがわかった.これらの結果から本酵素はDGGGPSであると言える.次に,本酵素の基質特異性を調べたところ,プレニル基供与体としてはGGPPのみを,プレニル基受容体としてはGGGPのみを基質としていることが分かった.
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