研究課題/領域番号 |
15370057
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
伊東 広 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183005)
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研究分担者 |
水野 憲一 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (90212232)
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キーワード | Gタンパク質 / シグナル伝達 / MAPキナーゼ / 低分子量GTP結合タンパク質 / アダプタータンパク質 / 細胞遊走 |
研究概要 |
Gタンパク質共役受容体はヒトゲノム上数百種類存在することが示唆されているのに対して、その受容体により活性化されるαβγの3つのサブユニットからなる3量体Gタンパク質は約20種類に分類される。受容体・Gタンパク質を介するシグナル伝達は様々な細胞応答を引き起こすことが知られているが、細胞応答にいたる細胞内シグナル伝達機構に関して不明の点が多く残されている。私共は最近、Gタンパク質シグナルによってMAPキナーゼカスケードが活性化され細胞の増殖能と運動性を制御することを見出した。本研究は、神経幹細胞や癌化した細胞におけるGタンパク質を介するシグナルとMAPキナーゼカスケードの関係を分子レベルで調べ、そのシグナルネットワークを解明することを目的とした。本年度は、まずGタンパク質およびSrcチロシンキナーゼの下流で働く新規のアダプタータンパク質Nck1を同定した。エンドセリン刺激によるCdc42およびJNKの活性化にNck1が関係することをNck1のsiRNAや膜結合性変異体を用いて明らかにした。さらにNck1がエンドセリンによる細胞遊走の阻害に関与することも見出した。一方、Gタンパク質と直接相互作用するRIC-8という分子を見出し、RIC-8がGタンパク質シグナルを促進する効果を示すことを、in vitroおよびin vivooの系で明らかにした。また、神経細胞の遊走をアデノウイルス遺伝子発現系や脳切片培養系を用いて分子レベル、組織レベルで解析し、Gq-JNK経路が大脳皮質形成時の神経前駆細胞のradial migrationを調節することを明らかにした。
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