研究課題/領域番号 |
15370059
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
牟田 達史 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60222337)
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研究分担者 |
竹重 公一朗 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10037450)
山崎 創 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70315084)
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キーワード | 自然免疫 / IκB-ζ / Nuclear Factor-κB (NF-κB) / 転写 / interleukin-6 (IL-6) / 核移行シグナル(NLS) / アンキリンリピート / Green Fluorescence Protein (GFP) |
研究概要 |
IκB-ζは、未刺激の細胞ではほとんどその発現がみられないが、LPSのみならず、他のToll-like receptor (TLR)を刺激する各種微生物由来物質や、IL-1β刺激によっても誘導される。一方、同様の炎症性サイトカインであるTNF-αによる刺激では、ほとんどその誘導がみられない。既に、この誘導にはNF-κBの活性が必須であるが十分でないことをこれまでに明らかにした。今回、この特異的誘導機構について検討した結果、LPSとIL-1β刺激によってIκB-ζmRNAの分解速度が低下し、安定性が著しく上昇していることが明らかとなった。従ってIκB-ζは、NF-κBの活性化に伴い転写が亢進するとともに、TLR/IL-1 receptorに共通する細胞質内ドメインであるToll/Interleukin-1 receptor (TIR)ドメインの活性化に由来する機構によってmRNAの安定性が上昇することにより、特異的に誘導されることが明らかになった。 さらに、IκB-ζの生体内での機能を明らかにする目的で、大阪大学の審良教授のグループとの共同研究によってIκB-ζ遺伝子欠損マウスの解析を行った。マクロファージの自然免疫応答について検討したところ、LPS刺激を受けたIκB-ζ^<-/->マクロフアージでは、TNF-αやNOは正常マウスと遜色なく産生されるものの、IL-6がほとんど産生されないことが判明した。このマクロファージでは、mRNAレベルでIL-6の誘導がほとんどみられないが、通常のEMSAでみたNF-κBの活性化、あるいは活性型特異的抗体を用いて調べたp38 MAP kinaseの活性化は正常であった。以上の観察とこれまでの結果より、IκB-ζはLPS刺激時のIL-6の転写亢進に必須に因子であることが明らかになった。
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