研究課題/領域番号 |
15370061
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
大隅 隆 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (50111787)
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研究分担者 |
廣瀬 富美子 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教授 (60208882)
山口 智広 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助手 (50347530)
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キーワード | 脂肪細胞 / PPAR / ペルオキシソーム / ペリリピン / 脂肪滴 / C / EBPα / C / EBPβ / PEX遺伝子 |
研究概要 |
(1)脂肪滴コートタンパク質、ペリリピンの遺伝子発現調節機構の解析を引き続き行った。すでに同定したPPARγ結合部位のすぐ下流に、3個所のシス調節部位を見いだした。これらはPPARγによるペリリピン遺伝子の活性化には必須であったが、上流側に位置するPEX11α遺伝子のPPARαによる活性化には不要であった。これらの部位のひとつにはNF-1ファミリーの転写因子が結合することが示された。隣接する2つの遺伝子、ペリリピンとPEX11αのPPARサブタイプによる特異的活性化には、他の転写因子との選択的相互作用が重要と考えられる。 (2)脂肪細胞分化刺激に応答した転写因子C/EBPβの発現誘導機構を解析した。RT-PCRやパルス-チェイス実験などにより、C/EBPβ遺伝子の転写促進とC/EBPβタンパク質の安定化がこの誘導に寄与することがわかった。C/EBPβは細胞内でプロテアソームにより速やかに分解されるが、分化誘導時にはそれが抑えられること、その調節にはC/EBPβのホモダイマー形成と、類似のタンパク質CHOPとのヘテロダイマー形成が重要であることが示された。 (3)脂肪細胞分化時の転写因子C/EBPαの発現誘導機構を解析した。C/EBPα遺伝子の下流に転写抑制配列が存在する可能性が示唆されていたが、実験条件の差によって結果が大きく変動するため、解析が困難となっている。 (4)脂肪細胞分化におけるペルオキシソームの役割を解析するため、ペルオキシソーム形成遺伝子PEX16のノックダウンを行った。前駆脂肪細胞3T3-L1に、レンチウィルスベクターを用いてPEX16に対するsiRNAを発現させたところ、分化誘導による脂肪細胞特有の形態変化が顕著に抑えられ、分化の鍵因子PPARγ2や幾つかの分化マーカーの発現も低下した。これらの結果から、PEX16は脂肪細胞分化に重要な役割をもつと考えられた。
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