研究概要 |
我々研究グループはヒト染色体セントロメア領域の機能構造解析を行っている。この領域をDNAとタンパク質との相互作用によって形成されるDNA/タンパク質複合体としてとらえ、分子レベルにおける構造の解析を行った。我々はこれまでに、極めて特異性の高い抗CENP-Aモノクローナル抗体の作成に成功し、この抗体が細胞染色のみならず、免疫沈降にもすぐれた特性を有することを示した。本抗体は世界に広く認知され、広く利用されている。また共同研究を行い幾つかの成果を得ている(文献表1,2,3)。CENP-Aヌクレオソームが選択的にI型αサテライトDNA上に形成されるという我々の発見を基礎にして、本年度はこの結果をさらに展開し、単離したセントロメア複合体の構成因子をプロテオミクス解析により網羅的に明らかにすることを試みた(文献表7) 1.単離したCENP-A/B/C複合体はこれまで報告されているすべてのセントロメア構成タンパク質(CENP-H、-I/hMis6、hMis12)を含む。よってこの複合体をI-CEN complexと名付けた。 2.単離した複合体が含むDNAは約70%I-型αDNAであった。この結果は約70%がCENP-A クロマチンであることを示し、CEN complexの純度を表す指標となる。 3.プロテオミクス解析の結果約40種類の遺伝子を同定した。上記セントロメアタンパク質5種類、多数の機能未知タンパク質。 4.その他に、クロマチンリモデリングに関連した因子(DDB1,XAP8,hSNF2H,FACTp140,FACTp80/SSRP1),ポリコーム複合体(BMI1,Ring1,RNF2,HPC3,PHP2),racGAP,及びKNL5。 これら多数の遺伝子の詳細な解析から、今後新たなセントロメア機能の解明につながるものと考えている。
|