研究概要 |
本研究では、酵母変異株を用いて細胞分裂と細胞増殖(リボソーム生合成)間のクロストークの実態を明らかにし、その分子機構を解明することを目指す。我々は、リボソーム生合成の制御機構を研究する過程で、酵母の細胞増殖における膜輸送系(分泌経路)とリボソーム合成系との間の密接な制御関係を見出した。さらにこの制御に必須な新規蛋白質Rrs1p、それと相互作用する蛋白質Ebp2pを同定し、Rrs1pおよびEbp2pがリボソーム生合成に必須であることを示した。一方、ヒトEbp2pはEBウィルスゲノムDNAの分配に関与することが示唆されている。本研究では、Rrs1pとEbp2pの機能解析を通じて細胞増殖と細胞分裂のクロストークの分子機構を解明する。今年度の成果は以下のとおりである。 (1)EBP2をbaitとして、酵母cDNAライブラリーから、two-hybrid法において相互作用を示す蛋白質をコードする遺伝子を多数取得した。これら遺伝子間の関係を調べ、Ebp2が60S,40S両サブユニットの生合成を協調的に制御することを示唆する結果を得た。(発表論文J.Biol.Chem.279:25353) (2)温度感受性rrs1変異株の解析から、Rrs1pが60Sリボソームサブユニットの組立のみならず、その核外輸送にも必須であることを明らかにした。(発表論文FEBS Let.565:106) (3)PCRによりランダムに変異を導入し、温度感受性ebp2変異株を取得した。ebp2変異株において、制限温度で核形態およびスピンドルの異常が観察された。
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