本研究では、相互作用を示す、出芽酵母のリボソーム生合成調節タンパク質Ebp2pとRrs1pの多機能性に着目し、その変異株を用いて、リボソーム生合成と細胞分裂の間のクロストークの実態を明らかにし、その分子機構を解明することを目指した。PCRにより作製した温度感受性ebp2変異株は60Sリボソームサブユニットのアセンブリおよび25S rRNAの成熟に欠陥を持つ。さらに、ebp2変異株が微小管重合阻害剤に感受性を示すこと、細胞がやや小さく、核形態の異常と短いスピンドル微小管が観察されることを見出した。EGFP-Ebp2pはおもに核小体に局在するが、核膜辺縁にも存在することを見出した。制限温度でebp2-14変異株は母細胞側のバッドネック近傍に異常な釣鐘型の核形態を示し、また、ebp2-14pが核膜に局在しないことから、Ebp2pが核の形態維持・位置決めに重要な機能をもつことが示唆された。Ebp2pは核膜に局在するタンパク質と相互作用することによって、核膜にアンカリングされていることが示唆された。rrs1変異株についても同様の結果が得られた。Rrs1pとEbp2pは相互作用してリボソーム生合成と核の形態維持・位置決めに機能していることが示唆された。
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