研究概要 |
酵母のリボソーム生合成調節タンパク質Ebp2とRrs1の機能を解析することにより、リボソーム生合成と細胞分裂間のクロストークを明らかにし、その分子機構を解明することを目指した。 (1)two-hybrid法により、Rrs1およびEbp2と相互作用を示す蛋白質をコードする遺伝子をスクリーニングした。Ebp2が60S, 40S両サブユニットの生合成を協調的に制御することを示唆する結果を得た(JBC 2004)。また、リン酸化酵素、アクチン重合に関わるタンパク質、SUMO修飾に関連するタンパク質をコードする遺伝子を取得した。 (2)TAPタグをつけたRrs1およびEbp2を発現する酵母株を作製し、これらの蛋白質を含む複合体の質量分析により構成因子を同定した。Rrs1pとEbp2pがリボソーム生合成のどのステップに必要であるかを推定した。 (3)PCRにより作製したrrs1変異株の解析から、Rrs1pが60Sリボソームサブユニットの核外輸送に必須であることを示した(FEBS Lett 2004)。 (4)rrs1変異の合成致死変異株を取得した。原因遺伝子は5S rRNAの成熟に必須なRNaseをコードするREX1であった。Rrs1がL11およびL5-5S rRNA複合体をリボソームサブユニット前駆体へリクルートするというモデルを提出した。(NAR 2005) (5)PCRにより作製した温度感受性ebp2変異株が微小管重合阻害剤に感受性を示すこと、細胞がやや小さく、核形態の異常と短いスピンドル微小管が観察されることを見出した。GFP-Ebp2pが核小体以外に核膜辺縁にも存在することを見出した。ebp2-14変異株において、Ebp2は核膜に局在しないことから、Ebp2pが核の移行および核の位置決めに機能していることが示唆された。
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