研究課題
基盤研究(B)
コンデンシンは、SMC2とSMC4のヘテロ二量体および3つのnon-SMCサブユニットから構成されるタンパク質複合体で、細胞分裂期(M期)染色体凝縮と分配に重要な役割を果たしている。ツメガエルや酵母などを用いたこれまでめ研究により、コンデンシンのM期特異的な機能は、染色体への結合のレベルとDNA高次構造を変換する活性のレベルで制御されていることが示唆されている。本研究では、哺乳類体細胞でのコンデンシンの細胞周期における制御機構を明らかにするために、HeLa細胞を用いた詳細な解析を行った。コンデンシンタンパク質の量と安定性は細胞周期を通じてあまり変化しなかった。^<32>P正リン酸を用いた細胞標識の実験によりコンデンシンのリン酸化レベルを調べたところ、SMC4とnon-SMCサブユニットが細胞周期を通じてリン酸化されていた。しかし、M期染色体骨格のリン酸化部位をエピトープとするモノクローナル抗体MPM-2でイムノブロッティングを行った結果、M期細胞から精製したコンデンシンのnon-SMCサブユニットにのみリン酸化シグナルが検出された。さらに、ホスホペプチドマッピング解析により、M期コンデンシンのnon-SMCサブユニットは、間期でのリン酸化部位の他に特異的な部位がリン酸化されていることが明らかになった。DNAの高次構造を変換する活性についても、MPM-2特異的なリン酸化に対応してM期において強く検出された。一方、細胞内での局在を調べたところ、コンデンシンは間期ではほとんどクロマチンに結合していないのに対して、M期では約25%が染色体に結合していた。さらに、この染色体結合型のコンデンシンは、特異的な部位がリン酸化されていた。以上の結果から、HeLa細胞においてコンデンシンがM期特異的なリン酸化により、活性および局在が制御されている可能性が示された。
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