研究課題
<内胚葉系器官形成に異常を示す新規変異体のスクリーニング>ゼブラフィッシュ胚において、内胚葉細胞は周縁領域で誘導され、正中に移動することにより腸管の上皮を形成する。腸管は、前後軸に沿った領域特異化により様々な呼吸器・消化器を形成する。脊椎動物の発生過程における内胚葉細胞の誘導、内胚葉由来の器官(肺・胃・肝臓・膵臓・小腸・大腸等)形成機構の解析は、他の胚葉(外胚葉・中胚葉)の組織・器官と比較して非常に遅れている。私は内胚葉系器官形成機構を遺伝学的手法により明らかにすることを研究目的とし、変異体のスクリーニングを行っている。現在まで殆ど報告されていない内胚葉系器官形成に異常を示す変異体をスクリーニングにより数多く獲得し、責任遺伝子を明らかにすると共に、変異体を用いることにより内胚葉系器官形成に関与する遺伝子の活性化カスケードの解明を研究目標としている。スクリーニングは、変異原として(Ethylnitrosourea ; ENU)を用い、最も一般的な3世代スクリーニング法を採用した。スクリーニング方法は、内胚葉系器官(うきぶくろ・肝臓・膵臓)で特異的に発現するfoxA3遺伝子を用い、in situ hybridization法により行った。平成18年2月現在、約200ゲノムのスクリーニングが既に終了しているが、今後250ゲノムに達するまでスクリーニングを継続し、新規変異体の数を更に増やす予定である。現在までに114の変異体候補が得られ、ライン化を行っている段階である。変異体の候補の表現型は、以下の4種に大別することが出来る。(1)腸管或いは内胚葉系器官(肝臓・膵臓)が低形成となる変異体(2)内胚葉系器官(肝臓・膵臓)が左右に一対形成される変異体(3)内胚葉系器官(肝臓・膵臓)の位置が左右逆になる変異体(4)うきぶくろ(肺と相同な器官)が特異的に低形成となる変異体
すべて 2005
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Developmental Cell 9
ページ: 523-533
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