研究課題/領域番号 |
15370101
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井上 貴央 鳥取大学, 医学部, 教授 (20116312)
|
研究分担者 |
徳永 勝士 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40163977)
椋田 崇生 鳥取大学, 医学部, 助手 (60346335)
海藤 俊行 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70268837)
篠田 謙一 国立科学博物館, 人類研究部, 室長 (30131923)
|
キーワード | 古人骨 / 脳 / 脳組織 / DNA解析 / ミエリン鞘 / ハプロタイプ |
研究概要 |
1.古代人の脳の微細形態解析 弥生人および江戸時代人の脳組織の一部を細切し、光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、脳組織のミエリン鞘が三次元的なネットワークをなしているのが確認できた。現代人の脳ではこのような神経ネットワークの観察ができていないが、古代人の脳では、ネットワーク以外の構造物が融解していた結果による。透過型電子顕微鏡では軸索内にニューロフィラメント様の構造物が残っているのが確認できたが、残存量が極めて少なく、免疫電顕的には証明できなかった。 2.脳と骨組織のミトコンドリアDNA抽出 各地から出土した古人骨を整理する中で、古人骨のDNA抽出を試みた。古墳時代の横穴墓から出土した骨からはDNAが検出できなかったが、弥生時代の資料では30点中9点からDNAを抽出することができ、D-ループの塩基配列を決定することができた。そのハプロタイプはD4型が多かったが、Fも存在し、当初考えられていたように単一な集団ではなく、ある程度多様な遺伝子配列を持つ集団であることが明らかになった。江戸時代の脳組織からは、21点中8点からDNAの抽出に成功しハプロタイプを決定した。弥生時代の脳からはDNAの抽出には成功しておらず、従って、今後さらに抽出方法の検討を行っていく必要がある。 3.脳と骨組織の核DNA抽出 核のDNA抽出、およびHLA遺伝子群の塩基配列の解析準備やその予備的解析を行ったが、これまでのところ、骨組織からも脳組織からも核DNAの抽出には成功していない。
|