研究課題/領域番号 |
15380002
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
江面 浩 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (00332552)
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研究分担者 |
南澤 究 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (70167667)
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キーワード | ウリ科 / 遺伝子導入 / アグロバクテリウム / 組換え体 / エチレン / 生合成 / リゾビトキシン / ACCデアミナーゼ |
研究概要 |
本研究では、エチレンが介する植物-アグロバクテリウムの相互作用を解明し、その知見を利用したウリ科作物への遺伝子導入効率の良いスーパーアグロバクテリウムの分子育種に取組んだ。 主にメロンを材料にエチレンが、植物への遺伝子導入を抑制する仕組みを解析した。その結果、エチレン反応を示す植物は、アグロバクテリウムのvir遺伝子群の発現を抑制すること、この抑制効果はエチレン処理により植物細胞内で蓄積もしくは消失する物質よることを明らかにした。 本年度は、Agrobacterium tumefaciens C58株へのエチレン生合成を抑制する物質(ACCデアミナーゼ、リゾビトキシン)生産能力を付与する研究を行った。まず、シュードモナス由来のACCデアミナーゼ遺伝子をプラスミドで導入し、菌体内でACCデアミナーゼ遺伝子を安定的に保持、発現できるように改変した。この菌株をメロンに接種したところ、エチレン発生を抑制し、遺伝子導入効率が向上した。 リゾビトキシンは、ダイズ根粒菌Bradyrhizobium elkaniiが生産するエチレン生合成阻害剤であり、宿主植物のエチレン発生を低下させる。本年度、B.elkaniiUSDA94株のrtxACDEFG遺伝子の全ての領域が一つの転写単位として、リゾビトキシン生合成に関与していることを遺伝子破壊等により明らかにした。次にAgrobacterium tumefaciensC58株へのB.elkanii rtxACDEFG導入したとろ、異種細菌においても導入遺伝子は転写および翻訳されていたにもかかわらず、リゾビトキシンは生産されなかった。C58株のゲノム情報およびリゾビトキシン生合成系の知見より、前駆物質の一つであるO-アセチルホモセリン(OAH)が供給されないことが原因として考えられ、OAH投与およびMesorhizobium lotiが由来のOAH合成遺伝子metXWの導入を行ったところ、C58株はリゾビトキシンを生産した。リゾビトキシン生産C58株は、非生産株と比較して植物のエチレン発生を低下させ、メロンの形質転換効率を有意に上昇させた。 以上のように、当初の目標を達成し、スーパーアグロバクテリウムの分子育種に成功した。
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