研究課題/領域番号 |
15380003
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中村 郁郎 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50207867)
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研究分担者 |
三位 正洋 千葉大学, 園芸学部, 教授 (30093074)
佐藤 雅志 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (40134043)
石川 隆二 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (90202978)
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キーワード | 一年生 / 多年生 / GSTZ遺伝子 / イネ / O.glaberrima / ゲノム歩行法 / 遺伝子欠損 |
研究概要 |
Glutathione S-transferase(GST)は、生体内の多様な過酸化物質の解毒に関与する一群の酵素であるが、その中のzeta型のGST(GSTZ)は、他のGSTとは異なり、チロシン代謝経路の中間産物である毒性物質ホモゲンチジン酸の解毒に関与しているMAAIであることが報告されている。一年生/多年生の大きな違いは、老化組織からの窒素の転流であると考えられているが、多年生植物では、老化組織におけるチロシン代謝物の解毒に関与するMAAI活性が維持されると考えられる。本研究で、アジア栽培イネ(Oryza sativa)のGSTZ遺伝子の構造を解析したところ、2個のGSTZ遺伝子(GSTZ1,GSTZ2)がタンデムに連結して存在することを明らかにした。そこで、多年生のアジア栽培イネ(O.sativa)および一年生のアフリカ栽培イネ(O.glaberrima)のGSTZ遺伝子の構造を比較したところ、O.glaberrimaにおいては、GSTZ1遺伝子を含む1Mbに渡る大きなDNA断片が欠損していることを見いだした。この欠失は、O.glaberrimaの祖先型野生種とされるO.barthiiにおいても認められた。一方、アジア栽培イネの祖先型野生種には、多年生の傾向が強いO.rufipogonおよび一年生のO.nivaraが知られているが、O.nivaraにおいてO.glaberrimaと同じGSTZ1遺伝子の欠損は認められなかった。しかしながら、両種の間でGSTZ遺伝子周辺のゲノム構造に差異があることを示唆する結果を得ている。他に、様々な植物種における類縁関係を調査して、一年生/多年生等の生態型分化との関連があるかどうかを調査した。また、本研究を遂行するために効率の良いゲノム歩行法(Right Walk)を開発した。
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