研究概要 |
つくば市の作物研究所,北大農学部等で増殖した平成15年度産の多数の大豆品種を対象にリポキシゲナーゼイソ酵素(Lox-1,Lox-2,Lox-3)活性を分析し、Lox-1活性,Lox-2+Lox-3活性が部分的に低下した品種を複数認めた.逆に,コントロールとした普通品種スズユタカよりイソ酵素活性が大幅に増大した品種を複数認めた.本酵素活性,特にLox-2活性は栽培・収穫・保存条件で変化することが知られており,これらの活性差が遺伝的であるかの確認を行っている.また,当初の研究実施計画にはないが,大豆脂質の脂肪酸組成の変異検索を実施し,リポキシゲナーゼの基質となるリノール酸含有率が大幅に低下し,基質とならないオレイン酸含有率が大幅に向上した変異大豆品種を複数認めた. 豆腐の風味に寄与する香気成分の生成に及ぼすリポキシゲナーゼアイソザイムの影響について検討した.つくば産のスズユタカ系統の大豆5種[(スズユタカ(Lox-1,Lox-2,Lox-3全有)、ゆめゆたか(Lox-1有)、関東102号(Lox-2有)、九州119号(Lox-3有)、いちひめ(全欠)]から調製した豆腐の香気成分を調べたところ、スズユタカと関東102号(香気の高いグループ)とゆめゆたか、九州119号及びいちひめ(香気の低いグループ)に分かれた.この結果は、Lox-2が豆腐の風味生成に寄与することを示唆した.また,全有と全欠系統の脂肪酸酸化物組成の違いを分析し、その組成に明らかな違いを認めた,現在、各成分の構造決定、また定量を進めている. フレーバー生成に寄与するリポキシゲナーゼ変異体は単離されているが,それ以外の変異による揮発成分組成変異体は知られていない.そこで,1000種のダイズについて種子破砕時に生成されるフレーバー成分の組成に関する変異体のスクリーニングを行っている.フレーバー成分は固相マイクロ抽出法により分析し,これまでに150種の解析を終え,数種の興味深い変異体を同定した.
|