研究概要 |
1.ICARDAの交配母本(8品種・系統)と道内2品種,計10品種を供試して,根貫入力の差異に影響する生理・形態的特性を検討した.根貫入力検定用ポットで5月上旬から各品種4ポットを網室内で栽培し,播種後4,6,8週目にロウーワセリン混合層を貫通した種子根,冠根および側根の数と形態を測定した。種子根の貫通根数は4週間目ですでに明らかとなり,その後8週間目までほとんど変化しなかった.一方,冠根と側根(当実験系では主として種子根のみから発生)の貫通根数は測定時期が遅くなるほど増加した.このため,全体の貫通根数は測定時期が遅くなるほど増加した.しかし,地際部での発根数に対する貫通根数の割合(貫通指数)は,種子根と冠根で高い正の相関関係(R^2=0.78)を示し,種子根長10cm当りの側根発生数に対する側根の貫通根数の割合(側根貫通指数)と種子根の貫通指数との間にも高い正の相関関係(R^2=0.88)が認められた.従って,根貫入力の品種・系統間の差異に密接に関係する貫通指数の差異は,播種後4週目で明らかになる種子根の貫通指数を指標として,従来よりも早い時期に評価できるものと推察した. 2.ポット調査で根貫入力が異なった6品種を水田転換畑と普通畑で栽培し,新規に購入した土壌採取装置を用いて根系分布を調査した.普通畑の深さ40cm以下における根数密度はポットで認められた根貫通力の差異とほぼ一致した. 3.ICARDAの共同研究者を札幌に招へいし,ICARDAの交配分離系統群についてQTL解析を行い,貫通根数と貫通指数のQTLを検出した. 4.次年度以降に供試する国内外の遺伝資源について,道内品種は北大で,道外品種は岐阜大で,それぞれ圃場に栽培して種子を増殖した.
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