研究課題/領域番号 |
15380015
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
安田 武司 神戸大学, 農学部, 教授 (20026553)
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研究分担者 |
南森 隆司 神戸大学, 遺伝子実験センター, 教授 (00180555)
深見 泰夫 神戸大学, 遺伝子実験センター, 教授 (00156746)
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キーワード | Atriplex / 塩生植物 / 耐塩性 / ベタイン / プロテインキナーゼ / 環境ストレス |
研究概要 |
アカザ科の塩生植物Atriplex nummulariaは適合溶質ベタインを大量に蓄積し強い耐塩能力を発揮すると考えられる。この植物からベタイン合成のキー酵素であるcholine monooxygenase (CMO)遺伝子、またその前駆物質生成に関わるphosphoethanolamine N-methyltransferaseとS-adenosyl-L-methionine (SAM) synthetase遺伝子をクローニングした。これらの遺伝子のmRNA発現は塩ストレス下、脱塩処理時、慨日周期において経時的に非常に似通った発現パターンを示した。また、同じアカザ科で比較的耐塩性の強い作物であるフダンソウではこれらの遺伝子に加えCMOにより合成されたベタインアルデヒドをベタインに変換するbetainealdehyde dehydrogenase、SAMの再生に関わるmethionine synthetaseとS-adenosyl-L-homocystein hydrolaseの遺伝子のクローニングを行い、ノーザン解析により転写の連動を調査した。その結果、フダンソウでもこれらの遺伝子は塩ストレス下などで連動して発現し、ベタイン合成系の酵素群が連動して制御されていることが認められた。しかし、耐塩性が弱い同じアカザ科のホウレンソウでは、CMO等のm團A発現制御は連動していなくて、これらの遺伝子を発現連動させる調節機構が栽培植物化の過程で失われた可能性が考えられた。 モデル植物シロイヌナズナのMitogen-Activated Protein Kinase Kinase (MAPKK)の一つであるAtMEK1は、塩ストレスなどにより活性化される。本年度、このMAPKKをストレス下で活性化する上流のMAPKKKの同定に成功した。それは、AtMEKK1と命名されているタンパク質リン酸化酵素である。AtMEKK1のC末端領域のアミノ酸配列に基づく合成ペプチド抗体を作成し、特異的にAtMEKK1を免疫沈降させること、かつ、その沈降状態のまま本酵素の活性を測定することができた。この方法によりAtMEKK1が確実にある種のストレス(傷害や塩)時に活性化し下流のMAPKKであるAtMEK1を特異的にリン酸化し活性化していることが明らかとなった。
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