1.実験圃場で栽培した食用カンナの生育中期および後期においてエイジングと光合成等の能力変化ならびに光強度とそれらの関係ついて開放型携帯用光合成蒸散測定システムを用いて検討した。その結果、生育の旺盛な段階において光合成速度がかなり高いこと、光合成有効放射が1800μmol/m^2/sという強光下でも、光合成速度は飽和しないことが明らかとなった。 2.実験圃場で栽培した食用カンナの根(不定根)の形態学的および解剖学的特徴と根群の分布様相について、生育前期・中期・後期に塹壕法により、詳細に検討した。その結果、生育初期には「塊状」の根系を形成し、中期・後期になると、それが「キノコ状」へと変化することが明らかとなった。また、食用カンナは根茎上の一つの節を挟むように不定根が2本1組になって発生するが、根茎の頂端へ向かって上方から出る不定根は細く、地上浅いところを横走し、下方から出る不定根は太く、地中深く侵入するという興味深い特徴を得た。 3.食用カンナは生育後期になると草高が3mに達し、自重と地表近くに形成される根茎により、茎が傾斜をし、台風等の強風により容易に倒伏が起こるのが弱点であるため、食用カンナ個体の倒伏と物理的諸要因との関係を検討した。風により植物体が受ける「外力」と、自重で生ずる「内力」を力学的側面から評価した結果、茎の長さを2m程度に短縮することによって、「外力」を約20%、「内力」を50%減少させて倒伏を軽減することが可能になることを理論的に導き出した。 4.草高を改善(短縮)させる方法として、組織培養により変異体を作出し、スクリーニングにより適当な個体を選抜し増殖を図ろうと考え、その第一段階として、培養系の確立に向けて検討を加えた。すなわち、Murashige&Skoogの培地を基礎に寒天やホルモン濃度を調節し、カルスの誘導と器官の再生が容易となる培地を選定した。その結果、成長点からカルスを形成させ、継代培養を経て植物個体を得るに至った。
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