研究概要 |
農地・里山を内包した小規模物質循環の取り組みの経緯と実態に関しては,小規模物質循環に関わる農業活動に対する東京都の農家の対応を明らかにした.具体的には,小規模物質循環に関わる活動として生ゴミ堆肥の活用に着目し,その実施状況を明らかにした.その結果,少数ながらも生ゴミ堆肥を活用する農家が存在していた.しかし,生ゴミ堆肥を活用する農家は,農業経営基盤が脆弱であることが多かった.生ゴミ堆肥の推進に向けては,活用する農家に対する経済的な支援が必要なことが示唆された.また,小規模物質循環の取り組みの国間比較を行うために,フィリピンマニラ都市圏における農地転用とその転用パターンを明らかにした.その結果,1986年から1996年にかけて,およそ半数近くの農地が転用した.そして,その転用パターンは,地形条件に応じて異なることを明らかにした.今後は,農家ばかりでなく,都市住民の生ゴミ堆肥の活用に対する意識を明らかにする予定である.また,フィリピンマニラ都市圏における調査では,今回明らかにされた結果をもとに地域を選定し,残されている農地の活用状況を明らかにする予定である. 農産物と生ゴミ堆肥を介した小規模物質循環システムに関しては,システムの在り方を評価するモデルの検討を行った.具体的には,生ゴミ運搬距離の平等性及び効率性から処理施設配置を評価するモデルの検討を行った. バイオマス資源の活用からみた里山管理システムに関しては,バイオマス資源の一つである森林の計画的配置手法を検討した.具体的には,森林の活用に関わる活動の一つである野外教育に着目し,野外教育の実施からみた計画的配置手法の提案と,その妥当性の検証を行った. 小規模物質循環システムを成立させる社会システムの解明に関しては,社会システムの進む方向が記されている環境基本計画に着目し,里山保全に関わる記載内容の解析を行った.
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