研究概要 |
1)ALSVベクターの外来遺伝子発現用ベクターとしての利用 ALSVベクターにシロイヌナズナの開花関連遺伝子(FT遺伝子)を導入後、シロイヌナズナおよびタバコに接種し、開花促進が起こるかどうか解析した. 完全長FT遺伝子を導入したALSV(FT-ALSV)を,シロイヌナズナ(13葉期)に接種し、短日条件下で育成したところ,接種後15日(15dpi)から花芽の形成が認められ,22dpiでは90%以上の個体で花芽が形成された.一方、野生型ALSV接種区では、24dpiから一部の個体で花芽形成が認められたが、90%以上で花芽が形成されたのは44dpiであった.またタバコにおいても最短で22dpiから花芽形成が認められた. 2)ALSVベクターのRNAサイレンシング誘導ベクターとしての利用 タバコの内在性遺伝子であるphytoene desaturase(PDS)、sulfur(SU)およびproliferating cell nuclear antigen(PCNA)遺伝子の一部をALSVベクターに連結してウイルス化した後,4種のNicotiana属植物に接種した。同様にシロイヌナズナのPDSとCH42遺伝子の一部を導入したALSVベクターをシロイヌナズナに接種し,これら遺伝子のサイレンシングが誘導されるかどうかを解析した. タバコの内在性遺伝子の一部を導入したPDS-ALSV, SU-ALSV,およびPCNA-ALSVをタバコ,N.benthamiana、N.glutinosa、N.occidentalisに接種したところ,どの植物でも10dpi〜14dpiから各遺伝子のサイレンシングによる症状が現れ,ALSVがこれらNicotiana植物の内在性遺伝子のサイレンシングを効率よく誘導することが明らかになった.シロイヌナズナにおいてもPDSとCH42遺伝子のサイレンシングが効率よく誘導された.以上から、ALSVはタバコやシロイヌナズナ内在性遺伝子のサイレンシング誘導ベクターとして優れていることが明らかになった.
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