1.モデル植物のシロイヌナズナに感染する新たなプロモウイルスとしてCassia yellow blotch bromovirusを同定し、さらにcDNAを介した遺伝子操作系を確立した。各種アクセッションにおける感染性を調査し、Spring beauty latent bromovirus (SBLV)と比較した結果、数種において異なる感染性と病徴発現が見られた。2.SBLV感染により激しい病徴を示すS96と無病徴感染を示すCol-0における病徴発現の違いは不完全優性の核内単一遺伝子座によって支配されていることがわかり、その遺伝子座をSSB1と命名した。植物体とプロトプラストにおけるSBLVの感染性には、Col-0とS96の間で顕著な差は見られなかったことから、両アクセッション間における病徴の差異はSBLVの感染性の違いに起因しないことが示された。SSB1遺伝子座は第4染色体上の遺伝子マーカーCAT2とnga1107の間にマッピングされた。また、S96の病徴発現にサリチル酸経路とエチレン経路が関与していることが示唆された。3.シロイヌナズナCol-0に全く感染しないBrome mosaic virus (BMV)は、CPR5遺伝子の機能が失われた変異体において効率よく全身感染する。BMVの感染が野生型Col-0中の少なくとも一細胞での増殖のステップで阻害されていることが示唆された。また、cpr5変異体において恒常的に発現している防御応答関連遺伝子の機能をさらに欠失させた多重変異体を用いた解析から、BMV感染に対する(cpr5変異体の感受性には既知の防御応答経路とは異なる機構が関与していることが強く示唆された。
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