研究課題
基盤研究(B)
ハダニとその共生細菌であるWolbachiaおよびCardiniumとの相互作用を明らかにするために調査研究を行い、以下の結果を得た。1.ダニや昆虫に広く感染しているCardinium細菌の16S rDNAの配列を利用し、これまでのものよりも高感度で識別できるプライマーを設計した。2.ナミハダニモドキでは、WolbachiaとCardiniumに二重感染している個体群が発見されたので、熱処理によりWolbachiaだけを除去した系統と抗生物質処理によってCFB細菌だけを除去した系統、およびいずれの細菌も除去した系統を作出して、これらの共生微生物がハダニの生殖に及ぼす作用を検討した。その結果、二重感染個体では、いずれかの細菌を除去してもハダニの生殖には全く影響がなく、これらは性を操る作用を持たないことが分かった。3.設計したプライマーを用い、ハダニ28種を対象に、Cardinium感染を調査した結果、64.3%に感染を認めた。これまでCardiniumの感染率は6-7%であると報告されているので、このハダニでの感染は極めて高いといえる。つまり、ハダニ類ではWolbachiaとCardiniumが広く感染していると推定される。4.これらのうち4系統を抗生物質で処理し、Cardinium細菌を除去した後に交配を行った結果、スギナミハダニの非感染個体♀×感染個体♂の交配では、ふ化率と雌率が他の組み合わせに比べて著しく低下する細胞質不和合性を誘起することが分かった。これは、ハダニでは始めての発見である。その他の3系統では、Cardinium細菌がハダニの性を操作している証拠を得ることは出来なかった。5.1万本以上のESTを解析したが、性や生殖に係わる遺伝子はとれなかった。今後も検討を続けていく予定である。一方、Cardinium細菌とWolbachia細菌を感染させたカイコオリゴDNAマイクロアレイを用いて宿主細胞の遺伝子発現への影響を調査した結果、Cardiniumでは、昆虫の抗菌ペプチド遺伝子の発現量を増加することわかり、このことから宿主の生体防御反応を引き起こしていることが分かった。Wolbachiaではそれらの遺伝子が発現することはなかった。
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