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2003 年度 実績報告書

生物間相互作用における栄養資源の獲得機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15380041
研究種目

基盤研究(B)

研究機関名古屋大学

研究代表者

田中 利治  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (30227152)

研究分担者 池田 素子  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (20262892)
宮田 正  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20023476)
キーワード内部寄生バチ / 外部寄生バチ / テラトサイト / コラゲナーゼ / MMP / 脂肪体
研究概要

鱗翅目幼虫は養分保存器官として脂肪体を持つ。この養分はハチ幼虫にとって重要な栄養資源であり、寄生された寄主では寄生後8日目から9日目にかけて脂肪体が消失した。カリヤコマユバチの幼虫はPDVや毒液によって増加した寄主体液中の各種栄養分を利用しながら成長・発育していくと考えられていたが、この脂肪体の消失を脂肪体における代謝経路の変更によって寄主脂肪体から体液中への栄養分流出によることだけでは説明しにくい。結局、寄生バチ幼虫による寄主脂肪体の直接摂食を行っていることが明らかになったが、これを助けをするのがテラトサイトであることがさらに突き止められた。このテラトサイトは79.9KDaと113.3kDaのコラゲナーゼを分泌することで寄主脂肪体の細胞外マトリックスを局所的に分解し、脂肪体細胞から脂肪球の放出を行わせ、ハチ幼虫による寄主の脂肪体摂食を助けていることがあきらかになった。一方、外部寄生であるアワヨトウヒメコバチに寄生された寄主の体液中の脂質量とタンパク質量は未寄生寄主に比べ、寄生直後からかなり高い値を示した。寄主の体表に存在するハチ幼虫はこの栄養豊富な体液を摂食して成長・発育するものと考えられる。体液中の各種栄養分の動向とは逆に脂肪体中の脂質量やタンパク質量が寄生後常に低い値に抑えられていたことから、本来脂肪体に蓄積されるはずの栄養分が体液中に分散してしまったものと考えられた。また寄主体液中の高脂質や脂肪体中の栄養分の減少の原因は毒液によるものであった。毒液は、MMP, phospholipase B, hyalulonidaseを含むことがわかった。現在なぜ特異的に脂肪体のみが毒液あるいはテラトサイトのターゲットになっているのかを、膜分画に着目することで解析を進めている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.Nakamatsu, T.Tanaka: "Venom of ectoparasitoid, Euplectrus sp. near plathypenae (Hymenoptera : Eulophidae) regulates the physiological state of Pseudaletia separata host as a food resource"Journal of Insect Physiology. 49. 149-159 (2003)

  • [文献書誌] T.Teramoto, T.Tanaka: "Similar polydnavirus genes of two parasitoid, Cotesia kariyai and Cotesia ruficrus, of the host Pseudaletia separata"Journal of Insect Physiology. 49. 463-471 (2003)

  • [文献書誌] Y.Nakamatsu, T.Tanaka: "Development of a gregarious ectoparasitoid, Euplectrus separatae that parasitizes Pseudaletia separata (Lepidoptera : Noctuidae)"Arthropod Structure & Development. 32. 329-336 (2003)

  • [文献書誌] Y.Nakamatsu, T.Tanaka: "Venom of Euplectrus separatae causes hyperlipidemia by lysis of host fat body cells"Journal of Insect Physiology. (2003)

  • [文献書誌] Y.Nakamatsu, T.Tanaka: "Correlation between concentration of hemolymph nutrients and amount of fat body consumed in lightly and heavily parasitized hosts"Journal of Insect Physiology. (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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