研究課題/領域番号 |
15380045
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
波多野 隆介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (40156344)
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研究分担者 |
渋谷 正人 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10226194)
秦 寛 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (30250492)
中原 治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10253519)
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キーワード | 窒素降下物 / 温室効果ガス / メタン / アンモニウム / 硝酸 / 森林土壌 / 地球温暖化 / 窒素飽和 |
研究概要 |
短期間および人工的なNH_4^+-N施肥が森林土壊におけるCH_4吸収を低下させることが明らかになっている。自然状態における長期間に渡る窒素降下物量と他の要因が森林土壌におけるCH_4吸収量にどう影響をおよぼしているかを明らかにするために、北海道の様々な森林土壌10地点で、1997年から2002年の5月から11月の無積雪期に調査をCH_4吸収の測定をおこなった。 土壌水分(WFPS)、pHは幅広く分布した(それぞれ、38%から93%、3.9から6.2)。NH_4^+-N降下物量、NO_3^--N降下物量は、それぞれ、1.3から6.9、0.8から2.9kgNha^<-1>y^<-1>の範囲にあり、NH_4^+-N降下物量の方がNO_3^-降下物量より大きい傾向にあった。総窒素降下物量は2.3から9.4kgNha^<-1>y^<-1>だった。 CH_4吸収はほとんどの地点で夏である7月から9月に最大値(31から161μgCm^<-2>h^<-1>)を示した。北方の地点でCH_4吸収は小さく(40μgCm^<-2>h^<-1>)、南の地点でCH_4吸収は年間を通じて大きい傾向を示した(70μgCm^<-2>h^<-1>以上)。CH_4吸収の平均値は地点間で差が見られた。積算CH_4吸収量は、108から494mgCm^<-2>[184d]^<-1>(242士102mgCm^<-2>[184d]^<-1>)であった。積算CH_4吸収量は、土壌温度の上昇とともに大きくなり、降水量、NH_4^+-N降下物量、WFPS、全窒素、全炭素の上昇と共に小さくなった。NO_3^--N降下物量、pHとC/Nとは2次曲線の関係にあった。重回帰分析をおこなったところ、CH_4吸収=0.47/降水量+0.38/NH_4^+-N降下物量+0.34/全炭素-0.30/NO_3^--N^-降下物量 (r^2=0.74p=0.0001) の高い精度の重回帰式が得られ、この式は、降水量、NH_4^+-N降下物量、全炭素含量が小さいほどCH_4吸収が大きく、NO_3^--N降下物量が大きいほどCH_4吸収量が大きくなる結果となった。本研究結果より、長期間に渡る自然状態の低いNH_4^+-N降下物量が森林土壌のCH_4吸収に影響をおよぼしていることが示唆された。
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