研究概要 |
(1)葉の一生におけるRubisco生成量の変動と大小サブユニット遺伝子及びそれらの転写産物の量的変動と窒素栄養の関係についての解析 rbcL遺伝子は葉緑体遺伝子にコードされている、葉緑体DNAは葉の展開終了後速やかに分解され、検出されなくなることがイネの第1-3葉で報告されている(Inada et al.,1997-1999)。そしてrbcL遺伝子の量が大サブユニットのmRNAレベルを支配する可能性が指摘されている。しかし我々の実験結果は、葉の展開終了後のrbcL DNAの減少が、rbcL mRNAの減少よりはるかに遅れて始まりその速度も遅く、その可能性は否定されるものであった。 (2)葉の老化に伴うRubiscoの分解の初発反応とそれに続く分解機構の解析 免疫電顕による観察により、老化後期においてRubiscoを含む小胞が現れることを新たに見出した(Plant Cell Physiol.,44,914(20O3))。この小胞が老化後期のRubisco分解の一機構を担っている可能性が示唆され,さらに詳細な検討を重ねている。また低温感受性キュウリ葉において、活性酸素によるRubisco大サブユニットの断片化がin vivoにおいても起きていることが証明された。 (3)暗所下におけるRubisco分解の初発反応とそれを担うプロテアーゼの単離と遺伝子の特定 我々は、ごく最近、暗所下に置いたコムギ葉の精製葉緑体の破砕液中にRubiscoを44KDaのフラグメントに特異的に分解するプロテアーゼ活性を捉えることに初めて成功した(Plant Cell Physio1.,43,1390(2002))。現在この酵素の精製を行なっている。
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