研究概要 |
本研究は、水田土壌各部位の微生物群集をDNAの塩基配列から同定し、水田土壌生態系各部位に生息する微生物群集を体系的に明らかにすることであり、平成15年度は、水田土壌各部位から抽出したDNAをEubacteriaの16S rDNAをターゲットするプライマーを用いて増幅後、DGGE法により特徴的なDNAを特定し、その塩基配列を決定した。その結果、田面水ではβ-Proteobacteriaに属すAquaspirillum sp.およびCFB細菌群属すFlavobacterium、Cytophaga spp.が、作土還元層ではδ-Proteobacteriaに属すAnaeromyxobacter sp.、水稲根面ではβ-Proteobacteriaに属すRalstonia, Azoarcus, Janthinobacterium, Sterolibacterium spp、稲わらではα-、γ-Proteobacteriaに属すAgrobacterium, Rhizobium, Pantoea, Pseudomonas spp、土壌中の堆肥ではγ-、δ-Proteobacteriaに属すAnaeromyxobacter, Acinetobacter spp.と放射菌群に属すCellulomonas, Thermobispora spp.、ミジンコ体表面ではCFB細菌群に属すIxodes, Flavobacterium, Runella, spp.とα-、β-およびγ-Proteobacteriaに属すSphingomonas, Pseudomonas, Variovorax spp.、とそれぞれ異なった細菌群集が主に生育していることが判明した。従って、水田土壌生態系において、これら各部位が細菌群集の多様性に寄与していると判断された。
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