研究概要 |
本研究は、水田土壌各部位の微生物群集をDNAの塩基配列から同定し、水田土壌生態系各部位に生息する微生物群集構造を体系的に明らかにすることであり、平成16年度は、水田土壌各部位から抽出したDNAをメタン生成古細菌の16S rDNA、真核生物の18SrDNAをターゲットとするプライマーを用いて増幅後、DGGEバンドパターンから群集構造を解析し、特徴的なDGGEバンドの塩基配列も決定した。その結果、土壌、稲わら、水稲根、稲わら堆肥、に生息するメタン生成古細菌の群集構造は、土壌環境(湛水、落水環境)、土壌埋設期間に関わらず、それぞれの部位ごとに特徴ある安定した群集構造を維持していることが明らかとなった。また、いずれの部位に生息するメタン生成古細菌もMethanomicrobiales, ricecluster Iに属していた。他方、堆肥化過程の稲わらの真核生物の群集構造は、堆肥化過程の高温期、中熟期、後熟期でそれぞれ異なり、稲わら資材は糸状菌のAscomycota、高温期は糸状菌Ascomycotaと原生動物Apicomplexa、中熟期は糸状菌のAscomycotaとBasidiomycota、原生動物Opalozoa, Ciliophora, Leptomyxida、線虫が、後熟期は糸状菌Ascomycota, Zygomyco1a, Oomycota、藻類Haptophyceae, Chrysophyceaeと線虫が多く見出された。また、水稲根に生息する真核生物は、根の発生時期によって異なり、生育初期に発生した根ではMastigophorea, Chlorophycota, Ciliophora、中期に発生した根ではOomycetes, Mastigophorea、後期の根ではAscomycotina, Mastigomycotainaが特徴的な真核生物であった。
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