研究課題
本年度は以下のような成果を得た。1.ケイ酸吸収遺伝子Lsi1の機能解析前年度単離したイネのケイ酸吸収遺伝子Lsi1に関す機能解析を行った。まずは発現部位を定量RT-PCRで解析した。その結果、この遺伝子は主に根に構成的に発現していることがわかった。またこの遺伝子の発現量はケイ酸の有無によって変動し、ケイ酸が十分ある条件と比べ、ケイ酸がない場合はLsi1の発現量が4倍増加した。Lsi1によってコードされたタンパク質の局在性を調べるために、Lsi1のプロモーター及びLsi1遺伝子とGFPを連結させたコンストラクトを作成し、組み換えイネを作出した。その結果、Lsi1タンパク質は主に主根と側根に存在し、根毛にないことを明らかにした。2.新規ケイ酸吸収遺伝子Lsi2のマッピング新たに単離された低ケイ酸含量突然変異体lsi2を用いて新規ケイ酸吸収関連遺伝子Lsi2の単離を試みた。Lsi2/KasalathのF_2集団を用いて、InDelマーカーによるLsi2のラフマッピングを行った結果、Lsi2はイネの三番染色体に座乗することを明らかにした。3.異なる植物におけるケイ酸吸収機構地上部のケイ酸含量が大きく異なるイネ、キュウリ、トマトを用いてケイ酸の外液から根細胞への取り込みと導管へのローディング過程に分けて解析を行った。その結果、外液から細胞内への取り込みのKm値はすべての植物にいてほぼ同じであったが、V_<max>はイネが最も高くキュウリ、トマトの順であった。また導管へのローディング過程を3種の植物間で比較したところ、イネの場合導管液中のケイ酸濃度は外液よりも10〜30倍高く、また一定濃度以上になると飽和した。これに対してキュウリとトマトの導管液中のケイ酸濃度は外液の濃度の増加に伴って直線的に増加したが、外液より低かった。
すべて 2006 2005
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Nature 440
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Journal of Experimental Botany 56
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