研究課題/領域番号 |
15380054
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神尾 好是 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00109175)
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研究分担者 |
樋口 秀男 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90165093)
金子 淳 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30221188)
冨田 敏夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00126129)
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キーワード | Staphylococcus aureus / leukocidin / γ-hemolysin / 膜孔形成 / 一分子技術 |
研究概要 |
黄色ブドウ球菌が大量に分泌し、感染に重要な役割を果たす2成分性白血球崩壊毒素ロイコシジン(LukFとLukSから成る)並びに赤血球崩壊毒素γヘモリジン(LukFとHlg2から成る)は、標的細胞膜上で2成分が4:3あるいは3:4比で集合し、ヘテロ7量体の中間体を経て、直径10nmの膜孔を形成し、さらに膜孔がクラスターし、直径約1μmの『超チャネル』を形成する。一方ロイコシジンによる白血球崩壊には膜孔形成のほかに、LukSの白血球膜上のプロテインキナーゼによるリン酸化が必須である。しかしながら、両毒素の精密構造、膜孔形成機序、膜孔集合機序、及び細胞崩壊機構の全貌は不明である。特に、標的細胞膜上での毒素分子の集合機序、毒素分子が膜に突き刺さる仕組みは未解決である。本研究で研究代表者らは「1分子測定技術」を駆使して、γヘモリジンの膜孔形成過程の全容を明らかにした。具体的に、2003年、本研究代表者らは、膜孔集合体で構成される直径1μmのγ-ヘモリジン『超チャネル』を発見し、本物体が溶血の起因体であることを証明した。さらに、「1分子技術」を駆使して、『超チャネル』形成までの7行程のリアルタイムでの可視化に成功した。すなわち、膜上における『超チャネル』の形成機構は、(1)LukFのY72残基を介した初発の膜への結合⇒(2)Hlg2のLukFへの結合⇒(3)[LukF-Hlg2]複合体形成⇒(4)[LukF-Hlg2]複合体3分子集合による6量体形成⇒(5)LukFもしくはHlg2の6量体への組込みによる7量体膜孔形成⇒(6)7量体膜孔の集合⇒(7)超チャネル形成、である。
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