Amfクラスターは放線菌Streptomyces griseusの形態分化誘導ペプチドAmfSとその排出系をコードしている。S1マッピングにより、amfTSBAオペロンの転写を司るプロモーター(PamfT)の転写開始点はamfT翻訳開始点の31bp上流にあること、その転写は野生株においては分化にリンクしておこり、amfR破壊株では全く起こらないことが判明した。PamfTの-35領域にはS.coelicolor A3(2)において多面的転写抑制因子として機能することが知られるBldDの結合コンセンサス配列が存在していた。S.griseusのbldD遺伝子はS.coelicolorのそれに高い相同性を示し、その転写はA-ファクターに非依存的であった。このことは、BldDはA-ファクターに非依存的に作用することが強く示唆された。ゲルシフトアッセイにより、BldDおよびAmfRのPamfTへの結合が確認された。BldDの過剰発現株ならびにamfT破壊株はともに分化が抑制されると同時に、PamfTの転写活性が顕著に抑制された。また、これらの株がAmfSの生産性を失っていたことから、amfTは活性型AmfSの生産に関与することが示唆された。以上の結果から、amfTSBAオペロンの転写は、AmfRとBldDがそれぞれ独立に直接作用することによって制御されており、それによってAmfSの発現と活性化が調節されていることが明らかになった。
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