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2004 年度 実績報告書

哺乳動物精巣特異的ポリ(A)ポリメラーゼTPAPによる精子形態形成制御の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 15380068
研究機関筑波大学

研究代表者

柏原 真一  筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (00254318)

キーワード精子形成 / ポリ(A)鎖 / TPAP / RNA結合タンパク質 / タンパク質輸送 / モータータンパク質
研究概要

哺乳動物精巣に特異的なポリ(A)ポリメラーゼTPAPの欠損マウスでは,精子核や鞭毛などの形態形成にかかわる遺伝子の転写量が著しく低下しており,結果として精子形成が球状精細胞の段階で停止する。今年度は,昨年度に引き続きTPAP欠損による精子形成不全の分子基盤について検討した。
(1)TPAPによるmRNAポリ(A)鎖伸長機構の解析・・・TPAPはパキテン期精母細胞から存在するが,特定mRNAに対するポリ(A)鎖伸長は球状精細胞特異的である。そのmRNA特異性や時期特異性を決定する機構について検討した。標的mRNAであるTRF2とTFIIAγの3'-非翻訳領域(UTR)を用いたEMSA法による競争阻害実験により,同一の因子が結合していると考えられた。TFHAγとTRF2の3'-UTR中にはそれぞれ3つと1つのcytoplasmic polyadenylation element(CPE,UUUUU/AAU)が存在し,その結合タンパク質CPEB1には3つのパラログが存在する。CPEB2が精巣において高発現していることから,CPEB2がポリ(A)鎖伸長に関与していることが推測された。(2)精巣におけるTAF10の核移行機構の解析・・・抗TAF10抗体を用いた精巣抽出液の免疫沈降により,神経細胞形成に関わるモータータンパク質KIF2AのスプライシングバリアントであるKIF2βとKIF2γが共免疫沈降されたが,GST-pull downアッセイの結果,両者は直接相互作用しているのではないことが判明した。また,RT-PCRと免疫沈降によりスプライシングバリアントのうち,KIF2γのみが精巣においてTAF10の細胞内輸送に関わっていることが判明した。今後,両者を仲介するタンパク質を探索する予定である。(3)TPAP欠損マウスのプロテオーム解析・・・TPAP欠損マウスの球状精細胞では,TAF10以外にも影響を受けているタンパク質が存在する可能性がある。そこで,野生型とTPAP欠損マウスの精巣タンパク質を二次元電気泳動により比較したところ,TPAP欠損マウスの球状精細胞ではSorbitol dehydrogenaseとAdenylate kinaseが減少していた。事実,TPAP欠損マウスの球状精細胞ではこれらmRNAのポリ(A)鎖伸長が不完全であった。これらのことから,いくつかのmRNAの球状精細胞における正常な翻訳にはポリ(A)鎖の伸長が不可欠であることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Co-localization of Trax and Mea2 in Golgi complex of pachytene spermatocytes in the mouse2004

    • 著者名/発表者名
      Matsuda, M., Kondo, M., Kashiwabara, S, Yoshihara, M, Sutou, S., Matsukuma, S.
    • 雑誌名

      J.Histochem.Cytochem. 52・9

      ページ: 1245-1248

  • [雑誌論文] Synthesis, processing, and subcellular localization of mouse ADAM3 duringa spermatogenesis and epididymal sperm transport2004

    • 著者名/発表者名
      Kim, E., Nishimura, H., Iwase, S., Yamagata, K., Kashiwabara, S., Baba, T.
    • 雑誌名

      J.Reprod.Dev. 50・5

      ページ: 571-578

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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