研究課題/領域番号 |
15380076
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
高木 博史 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (50275088)
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研究分担者 |
日び 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (00285181)
小田 順一 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (50027041)
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キーワード | 酵母 / N-アセチルトランスフェラーゼ / アゼチジン-2-カルボン酸 / プロリンアナログ耐性 |
研究概要 |
我々が出芽酵母S.cerevisiaeΣ1278b株に見いだした遺伝子MPR1は、プロリンアナログのアゼチジン-2-カルボン酸(AZC)を解毒する新規N-アセチルトランスフェラーゼをコードしており、分裂酵母Schizosaccharomyces pombeやS.cerevisiaeの同胞種にもホモログ遺伝子が存在することから、酵母に広く存在していることが示された。しかし、AZCは自然界にはほとんど存在しない化合物であるため、MPR1産物(Mprlp)の本来の基質であるとは考えにくい。そこで、酵母におけるMPR1の生理機能を解析する目的で、Σ1278b株の野生株とMPR1破壊株の生育を様々な培養条件で比較したところ、活性酸素種が発生する酸化ストレスに対して破壊株は感受性を示した。次に、細胞を過酸化水素添加、熱ショック処理などの酸化ストレスにさらし、生存率を経時的に追跡した結果、MPR1破壊株では野生株に比べてストレス後の生存率は明らかに低下し、MPR1は酸化ストレス下での生育に関与することが示された。また、大腸菌より精製した組換え酵素を用いて、各種プロリン関連化合物に対するアセチルトランスフェラーゼ活性を測定した。その結果、Mprlpはプロリン代謝中間体のグルタミン酸セミアルデヒド(GSA)をアセチル化することが判明した。GSAはΔ^1-ピロリン-5-カルボン酸(P5C)と平衡関係にあり、これらを細胞内に蓄積する菌株(P5CデヒドロゲナーゼをコードするPUT2の破壊株)は活性酸素種を生成し、酸化ストレスが生じるため生育が阻害される。そこで、PUT2破壊株のMPR1を破壊したところ、PUT2単独破壊株よりも生育が強く阻害され、細胞内のP5Cや活性酸素種の含量も高いことが判明した。以上の結果から、Mpr1はGSAをアセチル化し、酸化ストレスから細胞を保護すると考えられた。
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