研究課題/領域番号 |
15380076
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用生物化学
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
高木 博史 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (50275088)
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研究分担者 |
小田 順一 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (50027041)
日び 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (00285181)
高橋 正和 福井県立大学, 生物資源学部, 助手 (80315837)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 酵母 / N-アセチルトランスフェラーゼ / アゼチジン-2-カルボン酸 / 抗酸化酵素 / 酸化ストレス / 活性酸素種 / 冷凍ストレス / エタノールストレス |
研究概要 |
酵母Saccharomyces cerevisitae Σ1278b株の染色体に見出した遺伝子MPR1 (sigma1278b gene for L-proline-analogue resistance)は、プロリンアナログのアゼチジン-2-カルボン酸(AZC)を解毒する新規N-アセチルトランスフェラーゼMpr1をコードしている。本研究では、Mpr1の構造機能解析と利用研究に取り組み、以下のことを明らかにした。 1)Mpr1は、熱ショックや過酸化水素処理により、細胞内に生じる活性酸素種(ROS)レベルを低下させ、酵母を酸化ストレスから防御していることが判明した。また、Mpr1は酸化ストレスを引き起こすプロリン代謝中間体(Δ^1-ピロリン-5-カルボン酸/グルタミン酸セミアルデヒド)をアセチル化し、ROSレベルを下げることも示された。 2)酸化ストレスの一種と考えられる冷凍ストレスにおけるMpr1の生理機能を解析し、冷凍-解凍処理により酵母の細胞内にROSが増加すること、Mpr1はROSレベルを下げ、冷凍後の細胞生存率低下を抑えることが示された。また、エタノールストレスにおいても、Mpr1は細胞内で増加するROSレベルを下げ、酵母の細胞を保護する機能があると考えられた。 3)大腸菌やタバコ培養細胞でMPR1を発現させると、形質転換体はAZC耐性を示し、AZCアセチル化活性も検出されたことから、選択マーカーとしてのMPR1の有用性が示された。 以上の結果から、Mpr1は従来の抗酸化酵素のようにROSに直接作用するのではなく、ROSの発生に関与する物質(Mpr1の基質)をアセチル化し、その結果、何らかの経路や機構によりROSの生成を抑え、酸化ストレスから防御するという新しい抗酸化機構が考えられた。 今後は、1)Mpr1の抗酸化機構と立体構造の解明、2)抗酸化能の向上したMpr1の創製と実用酵母育種への応用、などに取り組む予定である。
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