研究概要 |
スクアレン環化酵素(SHC)、結核菌が生産するジテルペン及びスクアレン合成酵素(SQS)の機能解析を取り上げ、以下の成果を得た。 スクアレン環化酵素(SHC) 1.SHCによる最終反応の脱プロトン化は、高度に分極した水分子がプロトン受容体として機能する事を部位特異的変異株の作成及び速度論を含む機能解析で実証した。 2.メチル基の位置異性体を各種合成し、SHCとの酵素反応を解析した。7位や11位にMe基が存在すると環化反応が全く進行せず、また、14位にMe基が存在すると反応収率が低かった。酵素と基質との立体的な相互作用について考察した。 3.スクアレンは鎖長C_<30>であるが、短鎖のgeraniol(C_<10>), farnesol(C_<15>), C_<20>やC_<25> analogとの反応を検討した。C_<10>は全く反応しなかったが、C_<15>〜C_<25>の収率は30〜65%であった。特にC_<15>の基質はC_<20>やC_<25>と比較して約2倍高収率であった。 4.原核生物型から(3S)-OXSQに特異的な真核生物型へ改変できた。 5.非天然型アミノ酸導入により、カチオン/π相互作用を始めて実証できた。 結核菌が生産するジテルペン 1.Mycobacterium tuberculosis H37Rv3377cがジテルペンのハリマン骨格合成に関与する事を明らかにした。新規物質であったのでtuberculosinol(TB)と命名したが、Rv3377cはGGPPの環化反応のみを触媒し、実際の酵素産物はtuberculosinol diphosphate(TBPP)であった。 2.TBPPを脱リン酸化する遺伝子をRv3378cと同定し、水付加反応によって得られる新規酵素産物であった(isotuberculosinolと命名)。Rv3378c酵素の基質特異性を検討した。ent-copalylPPとも反応し、こけ類から見いだされたent-manoolを生産することも見いだした。 最近、我々は両遺伝子が病原性Mycobacterium属のみに存在することを見いだした。
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