研究課題/領域番号 |
15380087
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
駒井 三千夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80143022)
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研究分担者 |
後藤 知子 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (00342783)
大日向 耕作 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00361147)
白川 仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40206280)
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キーワード | 味覚異常 / 亜鉛欠乏 / ラット / 炭酸脱水酵素(CA) / 鼓索神経 / CA II / 亜鉛キレート剤 / 三叉神経 |
研究概要 |
亜鉛欠乏性味覚障害の発症機構が、食欲調節ペプチドの分泌異常によるものなのか否か、そしてこのことが肥満や糖尿病の発症に関与しているのか否かという研究を3年間かけて実施することを通して、健康の維持のための食欲調節条件を科学的に追及することを目的とした。初年度(平成15年度)の研究によって、以下のことが明らかにされた。 亜鉛欠乏による味嗜好の異常は、食塩嗜好においては飼育4日目から見られ、これは低亜鉛食条件でも亜鉛欠乏食の条件と同じ程度に強くみられた。一方、末梢における味受容能の低下は飼育初期には見られず、炭酸水で10日後の低下、他の基本味では最低3週間以上必要であることを明らかにした。初期の食塩嗜好異常はナトリウムの枯渇によるものではないことがわかり、中枢性のオキシトシン分泌が鍵を握っているというヒントをつかむことができた。 別の実験で、近年発症が増えてきている亜鉛キレート剤添加食給餌によって、各種味溶液の選択が正常状態とは異なり、味覚異常を呈することを確認した。また、鼓索神経応等による味受容能の低下をも示し、一味覚異常の実験モデルを構築することができた。さらに、炭酸脱水酵素阻害剤添加食の実験も行い、味覚受容能の低下を示すことができた。 亜鉛酵素である炭酸脱水酵素が、受容サイトにおける味受容に深くかかわっていることを初めて示すことができた。そして、亜鉛欠乏による唾液腺における炭酸脱水酵素(Carbonic Anhydrase=CA)アイソザイムの低下は、分泌型であるCA VIではなく主としてCA IIが関与していることを、mRNAの発現のみならず、southern blot analysisのタンパク質発現レベルでも示された。 以上の諸々の解明によって、今後の研究の展望が開けた。
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