研究課題/領域番号 |
15380087
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
駒井 三千夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80143022)
|
研究分担者 |
白川 仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40206280)
後藤 知子 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (00342783)
|
キーワード | 亜鉛欠乏 / 味覚異常 / ラット / 炭酸脱水酵素 / 亜鉛酵素 / 鼓索神経 / 亜鉛キレート剤 / 三叉神経 |
研究概要 |
食を通して国民の健康増進を図るための実用的な基礎研究は、ほとんどなされてきていない。たとえば、亜鉛欠乏性味覚障害の発症機構の解明や、食欲調節因子と食品摂取の関係の分子レベルでの解明(味覚ニューロンの分類、食欲調節ペプチド遺伝子の発現等)のような、高度な技術を駆使した研究で、かつ社会に還元できるような研究が少ない状況にある。このため、味覚障害発症の機構を亜鉛酵素(炭酸脱水酵素など)の関与の面から検討し、味覚障害の改善に寄与するための研究課題を企図した。 1)亜鉛キレート作用を有するフィチン酸含有食が味嗜好と鼓索神経応答に及ぼす影響 亜鉛吸収の阻害させるフィチン酸を4週間与えて実験を行ったところ、低亜鉛食という条件下でのみ亜鉛欠乏(血將水亜鉛濃度でモニター)を引き起こすことが分かった。塩酸キニーネ溶液(苦味)と水の2瓶選択実験では味の嗜好異常は認められなかったものの、鼓索神経応答においては大部分の基本味応答が低下していた。また、顎下腺の炭酸脱水酵素(CA)活性が低下していた。このことから、亜鉛摂取量が少ない状況とフィチン酸摂取が重なった場合に、潜在的な亜鉛欠乏に陥ることが示唆された。 2)炭酸脱水酵素(CA)阻害剤(アセトアゾラマイド)添加食が味覚受容に及ぼす影響 CA阻害剤添加食の給餌により、全ての基本味の鼓索神経応答が低下していることが確認された。血漿亜鉛濃度のモニターから、これは亜鉛欠乏によらない味覚異常であると判定され、この場合、血漿カリウム濃度の低下、マグネシウム濃度の上昇等が起こることが示された。 3)上記のほか、亜鉛欠乏が三叉神経舌枝における炭酸水応答低下の現象とCA活性が関係していることを突き止めた。
|