研究課題
カルパインは細胞質内に存在し、Ca^<2+>により活性を制御されるプロテアーゼである。細胞骨格系タンパク質、情報伝達系酵素・転写因子などに直接作用し、これらの活性・構造を変換・制御するモジュレータープロテアーゼである。哺乳類細胞では14種類の遺伝子が同定され、中でも組織特異的に発現が見られるカルパインがいくつか発見されており、その組織の機能との関連で、生理機能に大きな興味が持たれている。我々が発見したnCL-2/-2'やnCL-4は、胃や腸に発現が限定されるのみならず、興味深い構造をもつ選択的スプライス産物が同時に発現している。最近、nCL-2/-2'が胃の上皮層ピット細胞に極めて限定的に局在することを見出し、細胞移動や粘液分泌に重大な機能を果たすことが強く示唆された。胃や腸は食品の消毒、免疫、あるいは消化という様々な点で非常に重要であり、それ故に胃酸や粘液の分泌など極めて特殊化した機能を有する。そこで本研究は、遺伝子改変マウスとDNAチップテクノロジーを用いて、胃・腸特異的カルパインの生理機能を解明することを目的とした。ヒト疾患の症例などの記述の一切無いnCL-2/-2'及びnCL-4に関しては、遺伝子改変マウスを作成し、その表現型を見ることが、その生理機能解析において極めて重要と考えられるため、本年度は、ホモマウスの作出を完了しているnCL-2/-2'のC105Sノックインマウスについて、主に胃・腸の形態学的・機能的解析をおこなった。さらに、nCL-2の作用機序を明確にするため、マイクロアレイ解析、ツーハイブリッドスクリーニングなどを行った結果、小胞体の逆輸送に関与すると考えられるβ-COPと相互作用することが見出された。今後はこの生理的意義を明確にしていきたい。
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