研究概要 |
種子貯蔵タンパク質の構造・加工特性相関を分子レベルで解明するために、ダイズに加えて、エンドウ、ソラマメ、アズキ、インゲンマメ、マングビーン、カボチャの貯蔵タンパク質の構造と加工特性の解析を進め、構造・加工特性相関を部分的に分子レベルで解明した。 1.インゲンマメ7Sの優れた溶解性と乳化性に対する構造要因:昨年度に構築した大腸菌発現系を用いて、糖鎖をもたない組換え型を調製し、溶解性と乳化性を糖鎖をもつ天然型のものと比較した。その結果、インゲンマメ7sの優れた溶解性と乳化性には糖鎖が必須であることを見い出した。 2.バンバラマメ7S,11Sの特性:アフリカでよく食されるバンバラマメのタンパク質を分析した。その結果、11Sが他の種子の11Sに比べて極めて低い熱安定性を示すことを見い出した。この構造的要因を解明するために、11SのcDNAをクローニングした。 3.エンドウおよびカボチャの組換え型プロ11Sの特性:エンドウプロ11Sとカボチャプロ11Sの溶解性、熱安定性、表面疎水性をダイズのものと比較した。熱安定性には大差がないが、溶解性と表面疎水性には差があり、特に、表面疎水性には大きな差があることが判明した。 4.アズキ7Sおよびカボチャプロ11Sの立体構造の解明:組換え型のアズキ7Sおよびカボチャプロ11Sの立体構造を決定した。アズキ7Sもカボチャプロ11Sも他のものと大きな差はなかった。ただ、カボチャプロ11Sのディメンジョンは他のものに比べコンパクトであった。現在、構造・加工特性相関を解明するために、特性と構造、特に分子表面の性質を総合的に比較している。
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