研究課題
基盤研究(B)
本研究では、甘味タンパク質の甘味発現機構解析の研究を展開し、より詳細な機構を明らかにすることを目的としている。また甘味タンパク質による味刺激の受容機構、ならびに食品タンパク質と味刺激をもつ低分子化合物との相互作用の解明も視野に入れている。これらの研究が低カロリーの甘味料の開発、タンパク質の新たな食品機能開発につながることを目指している。(1)本研究では、これまでの研究の推進を含め、以下の3点に関して研究を行った。●これまでの研究から甘味タンパク質の甘味発現においてリジン残基、アルギニン残基の役割が大きいことが明らかになっている。個々の甘味タンパク質についてこれら特定のアミノ酸残基と甘味発現機構の関係を調べた。●甘味タンパク質とりわけ卵白リゾチームの味刺激は、濃度や各種の分子修飾によって変化し、味質が変わることが明らかになっている。すなわち苦味、渋味を呈する。これらタンパク質の個々の味刺激能について、その特異性、相違点、反応機構等を解明することを目的とする。また甘味タンパク質の甘味刺激は高濃度の場合、口腔内に味が残る。いわゆる、あと味であり、甘味と苦味において顕著である。この特性を検討した。●甘味タンパク質の甘味発現機構を解析する上で、舌上の受容体機構を知ることは重要である。これまで受容機構についてはほとんど明らかになっていなかったが、最近、培養細胞系を用いて甘味タンパク質に対して感受性を有する系の報告がなされた。本研究でも培養細胞系を用いることによる受容機構の検討を進めた。(2)味は食品の特性を決める第一の因子である。甘味、苦味、酸味、塩味、旨味の5つの基本味が知られているが、このいずれについても低分子化合物を対象に多くの研究がなされてきた。これらの呈味物質の味刺激の初発段階は舌上の受容体もしくはイオンチャンネルとの相互作用から始まるとされている。高分子化合物については、構造的に舌上の受容体と相互作用することができないであろうと考えられ、味刺激を持たないと思われてきた。しかし、上記のように、特異な甘味タンパク質に限らず、タンパク質が様々な味刺激能を有する可能性が生じてきている。したがってタンパク質と味との研究に関して新たな観点の導入が必要である。また、渋味は先の基本味と異なり、三叉神経を介する反応であるとされている。これまで渋味物質の構造的な記述等がなされてきたが、その系統的な解析、機構の解明はほとんどなされていない。これを明らかにすることも本研究の特色であり、新規な点でもある。本研究により食品科学の領域における味の科学の新たな展開を試みた。
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